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チャイナ・レポート(Web版)

“微刺激”政策は、景気回復の切り札になりうるか?(2014年7月1日号掲載)

日中産学官交流機構特別研究員 田中 修

 1―3月期のGDP成長率を受け、李克強総理は“微刺激”とも呼ばれる景気テコ入れ政策を相次いで打ち出した。これがもしうまく機能しなければ、4―6月期のGDP成長率は一段と落ち込むこととなり、そのときは大型刺激策を発動せざるを得なくなる。そうなると、地方政府の債務、生産能力の過剰、シャドーバンキング等のリスクが表面化するおそれがあり、それは指導部としてぜひとも避けたいところであろう。

 1―3月期のGDP成長率は7・4%と、年間目標の7・5%をやや割り込んだ。この事態を受け、習近平総書記は4月25日党中央政治局会議を開催し、当面の経済情勢・経済政策を検討した。
 まず経済情勢判断としては、「経済発展のスタートは総体的に平穏であり、経済の運営は合理的区間を維持している。1―3月期の経済成長率は年度予期目標の範囲にあり、雇用情勢は総体的にはかなり好く、物価水準は基本的に安定している。さらに、貿易収支の状況はある程度改善しており、財政収入・企業収益・個人所得の状況は比較的好調である。経済情勢は総体的に、マクロ・コントロールと発展の予期目標に合致している」とした。しかしながら、「当面の経済政策は少なからぬ困難と様々な圧力に直面し、わが国の経済発展を取り巻く環境には、依然としてかなり大きな不確定性と、経済成長にとっての下振れ(※数値などが想定よりも下回ること)圧力が依然として存在しているため、幾つかの困難は無視できず、潜在的リスクには、強く注意していく必要がある」と経済の先行きに懸念を表明した。
 また「マクロ政策の連続性・安定性を維持し、財政政策・金融政策についてはいずれも現行の政策方針基調を堅持し、良好な発展の予期目標と透明性のあるマクロ政策の環境を創造しなければならない。マクロ政策を安定させ、ミクロ政策を活性化し、社会政策により底固めするという基本的考え方を堅持し、情勢の変化に基づきその内容を適時調整し、年間経済社会発展の各予期目標の実現に努力しなければならない」とし、当面はマクロ経済政策の基本方針を変更しないことを決定した。
 これを受け、李克強総理は数回にわたり国務院常務会議を開催し、景気テコ入れ策を打ち出した。その主なものは以下のとおりである。

①小型・零細企業への所得税優遇政策を拡大する。
②バラック地区改造への開発金融支援を行う。
③鉄道投融資体制を改革し、鉄道建設を加速する。
④「三農」(農業・農村・農民)への金融支援を強化する。
⑤大学等卒業生、一時帰休・失業者、障害者等重点対象者の起業・就業を更に促進する。
⑥企業に関する費用徴収を減少・規範化し、企業負担を軽減する。
⑦「三農」、小型・零細企業等構造調整の需要に符合し、市場の需要を満足できる実体経済への貸出が一定比率にまで達した銀行に対して、預金準備率を適切に引き下げる。

 このように、対策は専ら「三農」や小型・零細企業など弱者対策を中心としており、鉄道以外の分野では規模の大きい対策は立てられていない。このためエコノミストは一連の対策を“微刺激”策と表現している。
 ただ、それさえも実施はあまり順調ではないようである。6月6日、李克強総理は、北京市長、河北省・山西省・黒竜江省・江蘇省・浙江省・広東省・四川省の各省長を中南海に召集し、8省市経済工作座談会を開催した。そこで李克強総理は、「これまでの成功経験からして、中国経済はやればできる。これが中国経済に対する私の自信の所在でもある。私がただ1つ心配しているのは、我々の現在の政策が既に実施されているかどうかだ。党中央・国務院の各措置が、『文件を回覧して終わり』ということがあってはならず、断固として実施しなければならない」と述べ、国務院が近日監査グループを派遣して政策実施情況を監査し、実施が不十分な者については、厳格に問責を行うとした。
 この強い決意表明に、現在、指導部が難しい局面を迎えていることが窺えるのである。

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