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チャイナ・レポート(Web版)

民営銀行テストは成功するか(2014年9月1日号掲載)

日中産学官交流機構特別研究員 田中 修

 7月25日、銀行業監督管理委員会(以下「銀監会」)の尚福林主席は、昨年11月の党3中全会で決定された経済体制改革の一環として、すでに民営銀行3行の設立申請を許可したことを明らかにした。
 テスト民営銀行は当初5行が予定されており、残り2つのテスト銀行についても、今後設立準備が進められることになるが、成功に向けて留意すべき点は少なくない。

1.3テスト銀行の概要
 銀監会は、3月の全人代終了後、関係地方政府の金融担当部局がテスト対象の民営企業と座談会を開催し、現地に人を派遣して銀監会の下部組織に問題を理解させるなど、周到に準備を進めてきた。7月中下旬に至り、この3テスト銀行の設立グループが正式に銀監会に設立申請を行い、今回許可を得たわけである。
 この3テスト銀行は、いずれも現行の商業銀行関連の法規に基づき設立されるものであるが、発起人は出資以外にも、銀行の定款の制定、役員・高級管理者の選定、経営方針・計画の策定、主要な内部管理制度・リスク防止システムの確立などに責任を持つ。
 この3行の概要は、以下のとおりである。〔場所/主要発起人/重要顧客〕
①深圳前海微衆銀行〔広東省深圳市/騰訊(テンセント)、百業源、立業/個人消費者、小型・零細企業〕
②温州民商銀行〔浙江省温州/正泰、華峰/小型・零細企業、個人商工業者、地区住民、県域の農業・農村・農民〕
③天津金城銀行〔天津市/華北、麦購/天津地域発展のための公的業務関係者〕

2.3テスト銀行の不安点
 重要顧客をみても分かるように、3テスト銀行のうち、深圳前海微衆銀行と温州民商銀行は、現在重要な問題となっている中小企業の資金調達難を解決することが期待されている。だが、果たして事はそのようにうまく運ぶであろうか。筆者は、次の点に留意が必要と考える。

(1)株式制銀行は中小企業金融になじむのか
 日本では、中小企業金融の主たる担い手は、国民金融公庫・中小企業金融公庫といった政府系金融機関か、信用金庫・信用組合といった協同組織金融機関であった。株式会社はそもそも極大利潤を追求するものであり、専ら中小・零細企業に貸し出して大きな貸倒損失が発生すれば、株主に対して経営責任を果たせないからである。
 株式制銀行にリスクの高い中小企業金融を担わせるのには本来無理があり、改革の方向性としては、利潤追求にこだわらない協同組織形態の民間金融機関を設立するとともに、別途中小企業金融専門の政策性銀行の設立を検討するのが筋ではなかったか。

(2)民営銀行が「機関銀行」化しないか
 機関銀行とは、特定会社との結びつきが非常に強く、しばしばその会社のオーナーが銀行の役員を兼ね、事実上その会社の財布代わりとなっている銀行を指す。集めた預金は殆ど無審査で特定会社に貸し出され、いったんその会社が経営危機に陥ると銀行もたちまち破綻することになる。日本では昭和金融恐慌で、このような機関銀行が大量に倒産した。平成バブルの崩壊後破綻した第2地方銀行・信用組合の中にも、機関銀行化していたものが多くみられた。
 中国でも民間企業が銀行を設立した場合、その企業の機関銀行化しないか、その経営内容を厳しく継続的に監査する仕組みが必要であろう。

(3)預金保険制度は整備されるのか
 民営銀行は、規模は当初小さいものとなろう。これまでの銀行は中央・地方政府がバックにいたため、預金者は預金の安全性に不安を感じていなかったと思われるが、政府の背景のない民営銀行が預金を安定的に集めるためには、預金保険制度を早期に整備し、預金を保護する仕組みを作ることが不可欠である。

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