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チャイナ・レポート(Web版)

第13次5ヵ年計画の“歴史的意義”(2016年1月1日号掲載)

日中産学官交流機構 特別研究員 田中 修

 2015年10月26〜29日に開催された党5中全会は、第13次5ヵ年計画党中央建議(以下「建議」)を採択した。
 歴史的にみて、今回の5ヵ年計画には、3つの“意義”があると考えられる。

1.中国経済が「新常態」に入って最初の5ヵ年計画である
 このことは、習近平総書記自身が党5中全会での「説明」で強調している。彼はまず、新常態の下では、①成長速度は、高速から中高速へ、②発展方式は規模・速度型から、質・効率型へ、③経済構造調整はフロー・能力拡大から、主としてストック調整・フロー最適化の併存へ、④発展動力は主として資源・低コスト労働力等の要素投入への依存から、イノベーション駆動に転換しなければならない、という「4つの転換」を主張し、「建議」の制定に際しては、新常態に適応し、新常態を把握し、新常態をリードするという要求に基づいて策定しなければならないとした。 
 経済が新常態に入ったのであれば、発展のあり方にも新しい理念が必要となる。このため、次の「5大発展理念」が提起されることになった。

(1)イノベーションによる発展を推進する
 新常態の下、最大の試練は「中等所得の罠」を乗り越えることであり、この難題を突破する決め手は、イノベーションによる発展にある。しかし、中国はまだイノベーション能力・自主的な技術・ブランド力に欠けている。このため、イノベーションを国家発展の核心に位置づけなければならない。
(2)協調的な発展を推進する
 中国は、①都市と農村の二元構造と、都市内部の二元構造という矛盾が際立ち、②東部・中部・西部、東北地方の発展がアンバランスであり、③社会の文明程度・国民の素質が経済社会の発展水準に釣り合っていない。このため、地域間の協同、都市・農村の一体化、経済と文化の協調的な発展を推進しなければならない。
(3)グリーンな発展を推進する(※注)
 現在、長期に累積された大気・水・土壌汚染の問題は、深刻になっており、生態環境の改善への国民の要求は強烈である。このため、資源節約型・環境にフレンドリーな社会の建設を加速し、グリーン・低炭素・循環的な発展を推進しなければならない。
(4)開放的な発展を推進する
 中国経済と世界経済は、既に相身互いの構造を形成している。このため、よりハイレベルな開放型経済を発展させ、世界経済のガバナンスに積極的に参加し、より広範な利益共同体を構築しなければならない。
(5)共に享受する発展を推進する
 国民の期待に比べれば、公共サービスと社会保障はなお不完全であり、国民に均等に及んでいない。このため、実現した発展の成果は人民が共に享受出来るようにしなければならない。

2.「小康社会の全面的実現」を図る最後の5ヵ年計画である
 習近平総書記は党5中全会での「説明」において、「農村貧困人口の脱貧困は、際立った不足部分である。我々は、一方で小康社会の全面的実現を宣言しながら、他方でなお数千万の人口の生活水準が貧困扶助の基準ライン以下にあるということがあってはならない」と述べている。このため、今回の「建議」では、約7000万人の農村貧困者の脱貧困が大きな目玉となっている。

3.改革の全面深化において「決定的成果」を挙げなければならない5ヵ年計画である
 2013年の党3中全会では、改革の具体的なメニューを挙げ、2020年までにこれらの改革項目の重要分野・カギとなる部分において、「決定的成果」を挙げなければならないとされた。今後5年間での改革の加速が必要となる。
 しかし、今回の「建議」は、発展理念を強調する一方で、改革促進にはあまりスポットをあてていない。「建議」本文でも、記述は極めて簡潔なものとなっている。改革に向けた具体的政策は、今後第13次5ヵ年計画の「政府要綱」で練られていくことになろう。

注:グリーン成長…資源制約の克服と環境負荷の軽減をはかりながら経済成長も達成する(経済協力開発機構(OECD)の定義による)

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