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チャイナ・レポート(Web版)

金融の安全保障(2017年7月1日号掲載)

日中産学官交流機構 特別研究員 田中 修

 習近平総書記は4月25日、「金融政策・金融行政をしっかり行い、金融の安全を擁護する」ことについて、党中央政治局集団学習会を開催した。
 会議では、①周小川人民銀行行長がマクロ・コントロールの強化、金融の安全保障、②郭樹清銀行業監督管理委員会主席が銀行システムのリスク解消、金融の安定擁護、③劉士余証券監督管理委員会主席が資本市場の発展とリスク管理、④陳文輝保険監督管理委員会副主席がリスク保障への回帰、保険監督管理の強化、金融の安全擁護の最低ラインを守ることについて、それぞれ認識・体験を語ったとされている。

 通常、政治局集団学習会は1~2名の講師を招き、講演・質疑応答の後、総書記が重要講話を行う。
 しかし今回は、報告者が中央銀行・金融監督当局のトップであり、単なる集団学習会ではなかったようである。
 第1に、現在進めている反腐敗を、金融分野に本格的に展開する先ぶれの会議であった可能性がある。
 事実、今回の学習会では、直前に保険監督管理委員会主席が腐敗で摘発されているのである。
 第2に、これは5年に1回開催される全国金融工作会議に代わる会議であった可能性がある。1997年にアジア金融危機が発生したことを契機に、国務院は秋に全国金融工作会議を開催し、国有商業銀行の不良債権問題等を議論した。
 その後は5年に1回春に会議が開催され、国有商業銀行の株式制化・上場、銀行業監督管理委員会の設置などが決定されてきた。
 しかし、今年はまだ開催されたという報道がない。
 おそらく、現在は習近平総書記が経済政策全般を指導しており、金融改革関連の大会議を開催するにしても、国務院主導ではなく党主導とする必要があったのだろう。

 会議では、習近平総書記が重要講話を行い、まず「金融は現代経済の核心である。経済の平穏で健全な発展を維持するには、必ず金融をしっかり運営しなければならない。
 金融の安全を擁護することは、わが国経済社会の発展の全局に関係する戦略的・根本的大事である」とした。
 そして、中国の金融リスクはコントロール可能であるとしながらも、「国際・国内経済の下振れ圧力要因の総合的な影響の下、わが国の金融の発展は、少なからぬリスク・試練に直面している」と指摘し、システミックな金融リスクの発生を防止するため、「1つのリスクも軽視してはならず、1つの隠れた弊害も放置してはならない」と強調した。

 そして、金融の安全保障について、次の6大任務を指示している。

⑴金融改革を深化させる
 金融業のコーポレートガバナンス改革を推進し、金融機関が現実に合わせてリスク管理の責任を担うようにし、デフォルトの健全な処理メカニズムを整備する。

⑵金融監督管理を強化する
 システム上重要な金融機関、金融持ち株会社と重要な金融インフラの監督管理を統一的に企画して、監督管理の不足を補充し、監督管理の空白を避ける。

⑶措置を採用してリスクポイントを処置する
 債務逃れ行為を取り締まり、レバレッジ率をしっかりコントロールし、法規違反行為の取締りを強化する。金融市場・インターネット金融に対して、全面的な厳しい調査・処分を重点的に展開する。

⑷実体経済の発展のために良好な金融環境を創造する
 直接金融を拡大する。貸出政策のガイドラインを強化し、先進的製造業等の分野に金融機関が資金支援を増やすよう奨励する。

⑸指導幹部の金融政策・金融行政能力を高める
 とりわけ高級幹部は金融知識の学習に努め、金融業務を熟知し、金融ルールを把握しなければならない。

⑹金融政策・金融行政に対する党の指導を強化する
 党中央が統一的に企画・指導することを堅持し、金融政策・金融行政を党が指導する体制メカニズムを整備する。

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