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チャイナ・レポート(Web版)

19回党大会報告の経済的側面(2018年3月1日号掲載)

日中産学官交流機構 特別研究員 田中 修

 10月14〜24日に開催された中国共産党の第19回党大会は、習近平総書記の報告を採択して閉会した。本稿では、報告の特徴を、経済中心に紹介する。

1.中国の特色ある社会主義は新時代に

 まず、「中国の特色ある社会主義は、新時代に入った」という認識が示された。これは中華民族が立ち上がり、豊かになり、強くなり、偉大な復興を迎える時期に入ったことを意味するとされるが、「立ち上がり」は毛沢東の業績、「豊かになり」は鄧小平の業績、そして「強くなり偉大な復興を迎える」のは習近平の業績ということを示唆しているのであろう。
 これまで、習近平総書記は中国の現状認識について、「新常態に入った」と繰り返し強調してきたが、「新常態」という言葉は今回使用されていない。これからは、「新時代」がこれに取って替わるものと思われる。

2.社会の主要矛盾の変化

 18回党大会においては、「人民の日増しに増大する物質・文化への需要と、落後した社会生産能力の矛盾という、この社会の主要な矛盾に変わりはない」とされていたが、19回党大会では、新時代の主要な矛盾は、「人民の日増しに増大する素晴らしい生活への需要とアンバランス・不十分な発展の間の矛盾」であるとされた。
 ここでいう人民の「素晴らしい生活への需要」は、単に物質・文化面での生活の豊かさのみならず、民主・法治・公平・正義・安全・環境面の要求が含まれる。ただ報告の中で、「社会主義核心価値体系を堅持する」という文言があることからすると、ここでいう「民主・法制」は欧米のそれとは内容が異なる可能性がある。

3.2020年から21世紀中葉までの期間を2つに区分

 「2つの百年」目標のうち、第1の目標が達成される2020年から、21世紀中葉までの第2の百年目標達成までの期間が2つに区分された。
 前半の2035年までをみると、ここで主要な制度改革が終了し、中国は現代化を完成することとされている。本来これは21世紀中葉までに達成すればよかったはずであり、目標が15年前倒しされた。2030年代後半には、文革世代が75歳の高齢者となり、中国は一気に本格的な高齢社会に突入する。それまでに、所要の改革・制度設計を完成させようというのであろう。
 また35年までに中間所得層が拡大して、都市と農村、地域間の経済格差と庶民の生活水準の格差が顕著に縮小され、基本公共サービスの均等化が基本的に実現するとし、「共同富裕」の実現に大きく政策のカジを切っている。
 さらに、「生態環境が基本的に好転し、美しい中国という目標が基本的に実現されている」とされており、環境対策が重要な柱になっている。人民の需要の中にも「環境」が含まれており、強いだけでなく「美しい中国」の実現が大きな課題とされているのである。
 21世紀中葉までの政策課題としては総合国力と国際影響力がトップレベルの国家となることが目指されており、まさに「強国化」が中心である。ただ同時に、全人民の「共同富裕」の実現も挙げられている。

4.質・効率の重視

 経済発展の質の変革・効率の変革・動力の変革を推進し、全要素生産性を高め、市場メカニズムが有効で、ミクロ主体に活力があり、マクロ・コントロールが適度な経済体制を構築するとされている。質・効率が優先されるため、以前のような「10年でGDP倍増」といった成長目標は、今回盛り込まれなかった。

5.「国有企業」から「国有資本」へ

  「国有資本」を優良化・強大化するとした。従来習近平総書記は「国有企業の強大化」を強調していたのであり、これをわざわざ「国有資本」と言い換えた背景には、経営面からの政府の撤退が含意されている可能性がある。改革派は、停滞ないし後退していた国有企業改革について、再度2013年の党3中全会レベルにまで表現を引き戻そうとしたのではないか。

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