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チャイナ・レポート(Web版)

国務院全体会議(2018年7月1日号掲載)

日中産学官交流機構 特別研究員 田中 修

 李克強総理は5月25日に、全閣僚を招集して、国務院全体会議を開催した。これは、今回の全人代で選出された新たな閣僚たちに、今後の5年間の政府活動方針を徹底させるためのものである。本稿では、会議で行われた李克強総理の重要講話の概要を紹介する。

1.時代認識

 「現在、世界政治経済の構造は深刻に変動・再編されており、不確定性が増加している。国内の発展はなお難関を越える時期にあり、我々にはしっかり掴むことが必要なチャンスがあるのみならず、対応しなければならぬ予測が難しい多くの新たな試練がある」とする。

2.マクロ経済政策の基本的考え方

 マクロ・コントロールのタイミング・方式・程度をしっかり把握し、雇用・インフレ・成長率指標を重視して経済をコントロールする「区間コントロール」の考え方により、発展方式の転換と構造調整を進め、経済を質の高い方向へと発展させなければならない、とする。「質の高い発展」は、習近平経済思想の最重点である。

3.今期政府の活動方針

 大きく4つの柱からなる。

⑴改革の全面深化を堅持し、政府機能の転換に力を入れ、勇気をもって自己革命を行い、市場の活力を一層奮い立たせなければならない。
  引き続き、規制緩和を推進し、市場参入を緩和し、減税・費用引下げの実施に力を入れ、資源配分における市場の決定的役割を十分に発揮させ、政府の役割を更に好く発揮させる、とする。「資源配分における市場の決定的役割」は、最近公的文件での使用頻度が減っていたが、改めて強調された。
  また、断固として開放を拡大し、改革の不断の深化をもたらすことにより、広範な中国市場において内資・外資企業に公平に競争させるとし、改革・開放政策の一層の推進を強調している。

⑵新発展理念を堅持し、新旧の動力エネルギーの転換を加速しなければならない。
  経済構造調整を加速し、新動力エネルギーを育成し、伝統的動力エネルギーを改造・グレードアップし、産業をミドル・ハイエンドへと邁進させる、とする。
  このため、基礎研究とカギとなる技術のブレークスルーを増やし、「起業・イノベーション」をグレードアップし、新技術・新業態・新モデルが競い合いながら前進することを促し、産業のコアコンピタンスを高める、としている。
  他方で、落後した生産能力を断固として淘汰するとしているため、新動力エネルギーについては、雇用吸収作用が期待されている。
  また、環境保護産業の発展に力を入れ、生態保護と経済発展のウインウインの道を歩むとし、2020年までの3大堅塁攻略戦の1つである「環境対策」とのバランスも配慮されている。

⑶人民中心の発展思想を堅持しなければならない。
  基本的民生の保障に力を入れ、貧困支援・雇用・義務教育・基本医療・基本的な高齢者対策・民生の最低ライン保障等の重点分野において、かなり完備された保障メカニズムを形成する、とする。具体的には、3大堅塁攻略戦の1つである「正確な脱貧困」を着実に推進するとともに、基本年金の期日どおりの満額支給、大病保険の払戻率とカバー率の充実が挙げられている。
  また、市場の役割を発揮させて基本公共サービス以外のサービスを発展させ、大衆の様々なレベルの要求をより好く満足させるとしており、ここでも市場が重視されている。

⑷リスクの防止・コントロールを強化しなければならない。
  これも3大堅塁攻略戦の1つである。
 事前対策案を整備し、事前警告を強化し、金融・都市ガバナンス・安全生産・汚染対策・自然災害等の方面のリスクと、国際重大リスクへの対応を際立たせて取り組み、応急管理をしっかり行い、経済社会の大局の安定を確保する、としている。

 

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