第50回理事会を開催
2024年度上半期事業報告、収支報告などを承認
第50回理事会が、10月10日(木)当財団会議室において、理事8名、監事2名の出席で開催されました。
理事会開催にあたり岡島理事長より、技能実習事業・特定技能事業及び交流事業の現状及び「下半期の事業運営も役職員一体となって取り組みを進めていく」とのあいさつがありました。
その後議案審議にうつりました。
まず、鮎澤専務理事より第1号議案である2024年度上半期事業報告及び各職務執行理事より職務執行報告があり、続いて須藤常務理事より第2号議案である2024年度上半期事業収支報告がありました。
第1号議案の審議では、技能実習事業の取り扱いや育成就労制度への移行対応などについて議論が行われ、採決では全員一致で承認されました。
また第2号議案についても全員一致で承認されました。
引き続き第3号議案以降のそれぞれの議案について審議を行い、それぞれ全員一致で承認されました。
第50回理事会議題 第1号議案 2024年度上半期事業報告(案)承認に関する件 |
理事会であいさつする岡島理事長
「JITCO日本語作文コンクール」入賞者センター訪問
当財団としても表彰状を贈呈
「第32回外国人技能実習生・研修生日本語作文コンクール」の入賞作が発表されました。今回は、全体で1、277編の応募作品があり、最優秀賞4編、優秀賞5編、優良賞11編と佳作15編が選出され、JITCO(公益財団法人国際人材協力機構)ホームページにて発表されました。
当財団からも8編の応募作品があり、内1編が最優秀賞に選出され10月4日当財団においても表彰しました。
そう菜製造業職種で実習中のベトナム国籍 グエン ティ フイエン フィさん(実習実施者/株式会社サンデリカ平塚事業所)の作品です。
フィさんは、昨年の作文コンクールにも応募していて、更に当財団の企画する「あなたも日本語でもの語りしませんか?」に投稿するなど絶えず努力を重ねていました。ご本人の努力はもちろん、実習実施者の株式会社サンデリカ様、実習施設の職員の皆様のご指導の賜物であると思います。フィさんの努力は並大抵の努力ではなかったのではないでしょうか。
当財団の役職員は実習生の皆さんのひとり一人の努力を見ていますし知っています。今回の受賞の喜びを分かち合えることはわたしたちにとっても大きな励みになります。
フィさん、こころよりお祝い申し上げます。
おめでとうございます!
※本紙2面に、フィさんの作文を掲載しています。
岡島理事長とフィさん(左)
JITCO交流大会で 最優秀賞 作品「私の先生」を披露
JITCO 第32回外国人技能実習生・研修生日本語作文コンクールで最優秀賞に選ばれたNGUYEN THI HUYEN HUY(グエン ティ フイエン フィ)さんは、10月4日に開催されたJITCO交流大会に出席しました。ベトナムの伝統衣装である「アオザイ」を身にまとい出席したフィさんは、最優秀賞に選ばれた他の3名とともにJITCOより表彰を受けた後、作品「私の先生」を流ちょうな日本語で思いを込めて朗読しました。日本人でもまねができないくらい、素晴らしいスピーチとなりました。
最優秀賞「私の先生」
(NGUYEN THI HUYEN HUY)
国籍:ベトナム 職種:そう菜製造業 実習実施者:株式会社サンデリカ
夢の中で、大好きな先生に再会しました。夢の中の先生は相変わらず優しくてフレンドリーでした。
3年前、私は外国人向けの無料日本語教室に行きました。ここで、85歳を越える松田先生に会いました。先生はいつも沢山本を持ち歩き、一時間前には教室に来て、生徒20人の宿題をコピーしていました。初めて先生に会った時、なぜそんなに年を取っているのに毎日無給で一生懸命に教師をしてるのかと思いました。先生は熱意、前向きなエネルギー、そして温かく誠実な言葉で自己紹介をしました。先生は私に仕事や生活に有利な日本語検定のN2を取ることを目指すように言いました。先生の授業は日本語だけでなく沢山の知識も学びました。先生は人生や世界について多くのことを知っていて、10か国語を話せます。先生から日本語の本を沢山もらいましたので、86歳の誕生日に感謝の気持ちを込めて86枚の千円札を贈りました。でも先生はそれを返し、私の頭を撫で、受け取りたい一番の贈り物は、私の将来の成果だと言いました。それを聞いた時、私は心から感動しました。
そんなある日、先生が入院のため、日本語教室を休むと教室管理から発表がありました。私は先生の体調がとても心配で、何度もLINEで連絡しましたが、返事が来ず不安になりました。1か月後、先生から元気になったと返信が来て、私はとても嬉しかったです。
退院してから授業に来た先生は大きく変わって、1か月で20キロも体重が減り、体はやつれているように見えました。私は先生に授業をしないでもっと休んで下さいと言いましたが、先生は授業することを決めてました。その日、雨でしたが私はレインコートを着てませんでした。その時に先生は「風邪をひく前に帰りなさい。」とレインコートを貸してくれました。帰る時に私は先生を見つめましたが、不安感がありました。寮に帰ってすぐにLINEで連絡しましたが、また返事がありませんでした。二日後、教室管理から先生が心臓発作で亡くなったと連絡がありました。私は先生に何もお返しできなかった自分を責めて大泣きました。私の心は誰かに引き裂かれたように痛みました。先生が生き返って永遠に暮らせる奇跡を祈るばかりでした。
今でも、先生の思い出と教えは私の中で永遠に生き続けています。私も以前は歴史の教師でした。教職や生徒たちを愛してましたが、先生の無給で教え、人生の終わりまで教え続けた献身的な姿勢を本当に尊敬しています。先生は日本人が自分の職業に心から情熱を注ぐというイメージを私の中に残しました。先生は私にとって常に見習うべき模範です。先生が私に期待した成果を達成できるようにもっと努力するつもりです。天国で先生が本当に安らかに過ごしていることを願っています。
大好きな松田先生は私の心の中に永遠に生きています。
最優秀賞を受賞した4名
作文コンクールで受賞された皆さん
フィさん紹介パネルコーナー
受賞の喜び
今年の5月、JITCO主催の「第32回外国人技能実習生・研修生日本語作文コンクール」に果敢に参加しました。賞をいただけるとは思っておらず、交流と学びを目的に参加しました。なので、8月に最優秀受賞の知らせを聞いた時は本当に驚きましたし、とても嬉しかったです。誠にありがとうございました。もうすぐ誕生日の私にとって最高のバースデープレゼントです。
こんな素晴らしい賞をもらえるのは、皆様のおかげです。株式会社サンデリカ平塚事業所の方々、無料日本語教室や公益財団法人日中技能者交流センターの先生達、先輩と後輩のいろんな支えがあってこそ受賞ができました。本当に皆様に感謝します。そして、大切な家族にも感謝したいです。いつも温かく見守って、私を最後まで応援してくれてありがとう!
特に、亡くなった先生が私に期待した成果は感謝に気持ちを込めています。今回の受賞は私に大きなモチベーションを与え、日本語を学ぶことにもっと興味を持ち、努力するつもりで、諦めないようにという気持ちになりました。
編集・発行 公益財団法人国際人材協力機構『第32回外国人技能実習生・研修生日本語作文コンクール2024優秀作品集』2024年10月発行、12ページより承諾を得て転載(原文のまま掲載しています)。
在日ベトナム大使館より 感謝状が授与される
当財団は、本年9月7日から8日にかけてベトナム北部で発生した台風3号による被害に対し、支援の一環として9月26日に在日ベトナム大使館に対して義援金を贈りました。
そのお礼として、10月21日在日ベトナム大使館労働管理部から2名が来訪され、「貴財団のご支援を高く評価する」として感謝状が贈られました。
これに対し岡島理事長は「当財団としても引き続きベトナムとの交流を大切に続けていきたい」と述べました。
当財団は引き続き、日越間のさまざまな交流に尽力してまいります。
在日ベトナム大使館労働管理部より感謝状を贈られる岡島理事長
技能実習情報掲示板
2024年度(令和6年度)地域別最低賃金改定状況
厚生労働省は各都道府県の地方最低賃金審議会が決定した新しい地域別最低賃金の改定額を発表しました。今回の改定により、全国の最低賃金の加重平均額は昨年度より51円増加し、1,055円となります。これまでで最大の引き上げ幅であり、多くの労働者の生活に影響を与えると同時に、企業にとっても大きな課題となることが予想されます。時給1,000円を超える都道府県は、2024年度は新たに8道県が加わり、計16都道府県となりました。また、今回の改定で時給950円以下はなくなりました。
2024年度(令和6年度)地域別最低賃金
( )は改訂前
歳時記
実習生のふるさと ネパールお国柄レポート 第3回
今回は、ネパール人労働者の魅力についてです。ネパールの人口は少なく、2022年時点で約3,000万人、世界ランキング100位以下です。
しかし、この人口の多くは若年層で、現在のボリュームゾーンは20代です。労働年齢人口が全体の6割以上を占め、中央年齢は23歳で働き盛りの年齢層が多い国であることがわかります。
日本にも働いているネパール人が年々増えており、「外国人雇用状況」の届け出状況【概要版】(2022年10月末)によると、118,196人(前年比20.3%増)〔前年98,260人〕ものネパール人労働者を受け入れており、国別で見たときにネパールは5位となっています。
ネパール人は日本に限らず出稼ぎで生計を立てる国民が多く、500万以上のネパール人が海外で就労しています。
その中で日本を出稼ぎ先として選ぶ背景には、日本の治安の良さ、労働環境における待遇があります。ネパールの平均月収は約20,000円。日本での就労は高収入が見込めるため、母国にいる家族に余裕のある暮らしを送ってもらえると喜ぶネパール人が多く、一生懸命働いてくれています。彼らがもつ日本への憧れ・働くことへの強い意欲は、社内に新たな勢いを創り出すでしょう。
日本人にとってネパール人が身近になる日も近いのではないでしょうか。その際は、今回ご紹介した文化・特徴などを思い出してみてください。
ネパールの年代別・男女別の人口ピラミッドグラフ(2024年最新版)
出典「国際連合経済社会局まとめ」
一ツ橋
「移民国家」への対応
定住外国人は341万人(人口比2.7%)と増加した(2023年末時点)。
人口に占める割合が将来1割となる試算もある。増加しているのは「特定技能外国人、技能実習生、留学生」だ。若い低熟練外国人が日本を支えている。一般に外国人の収入は高くはない。仕送り金額に円安も加わり生活費は厳しい。長期の日本経済低迷から、賃金水準は周辺国(シンガポール、韓国、台湾等)の後塵を拝している。もはやアジアの中で普通の国である。日本の魅力は「安全、暮らしやすい、優しい人柄」だけでは通用しない。賃金改善は急務である。母国と比べて2倍以上の賃金がないと来日動機が無くなる。外国人を「安い労働力」の発想は通用しない。
外国人と日本人の新たな格差社会を拡大させない共生社会に向けて処遇改善が急がれる。
(シクラメン)