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日本語教育・再考(Web版)

 

技能実習生や働く外国人に対する日本語指導を考える〈その8〉
〜AJALT Web教材『リソース型生活日本語』の紹介〜(2014年5月10日号掲載)

公益社団法人 国際日本語普及協会
地域日本語教育担当理事 関口 明子

 読者の皆様、ご無沙汰しました。『あたらしいじっせんにほんご―技能実習編』はお使いいただいていますか?本の半分はフルカラーの絵入り語彙表になっていますし、本文会話も現場に即した生き生きとしたものになっていますので、必ずやお役に立てると信じています。
 さて、今回のテーマに入っていきましょう。

Ⅰ 『リソース型生活日本語』とは
 平成10年度より文化庁からの委嘱を受け、(社)国際日本語普及協会が開発、作成、平成13年度よりインターネット上に公開し、無料で提供しています。13年間ウェブ教材の強みを生かし、更新を続けており、日本語支援者がその学習者に合った教材を作成するための素材を集めたものです。日常の生活で遭遇する場面をできるだけ多く想定し、そこで「日本語を使ってしなければならないこと」を抽出してデータベース化しています。抽出した場面を日本語でクリアできること、行動を達成できることを目標にしています。

Ⅱ 『リソース型生活日本語』の特徴
1 日本で生活する外国人の、自立した生活を目指す。
2 全体を生活の中の行動場面で構成し、日本語を使っての行動達成、問題解決をめざす。目的達成のための「行動」を単位とする。順番はなく、必要な項目から学習できるようにする。
3 支援者に対して、学習者に合った教材作成の助けとなるよう材料・素材を提供し、簡単に書き換えられるようになっている。
4 生活文化情報を含め、学習者、支援者双方にとって役立つ情報を提供する。
5 インターネットに無料公開し、多くの支援者が利用できるようにする。
6 常によりよいものにできるように更新していく。

Ⅲ 『リソース型生活日本語』の内容
 以下の項目が目次として載せてあり、その中に教材素材が載っています。
1 生活開始に必要な行動
 日本で初めて生活を始める、または転居して新しい地域で生活を始める外国人が必要とする行動。実際には初めて生活するときは何らかの助けがあるので、多くは引っ越し後の生活と考える。
①住まいを探す ②電気/ガス等の手続きをする ③地域社会のきまりを知る ④行政機関へ登録/届け出/相談をする ⑤学校の編入手続きをする ⑥金融機関を利用する ⑦車に関する手続きをする
2 家庭生活を営むために必要な行動
 日本人と結婚し、家庭生活を営む外国人が必要とする行動
①家族と心を通わす ②家事をする、手伝う ③文化習慣の違いをお互いに理解する ④社会生活を営むために必要な行動
3 種々の公的サービス、民間サービスを利用するために必要な行動
①移動する ②非常事態に対処する ③飲食する ④買い物をする ⑤各種サービスを利用する ⑥郵便局を利用する ⑦電話を利用する ⑧子どもの教育機関と関わる ⑨行政サービスを受ける、各種届を出す ⑩病院へ行く
4 職場生活を営むために必要な行動
 職場で必要な行動をし、職業生活を円滑に進めるために必要な行動(専門的な範囲を除く)
①就職をする ②職場の心構えを知る ③職場生活を送る
5 人間関係を良好に保つために必要な行動
 周囲の人々と良好な人間関係を築き、維持するために必要な行動
①人間関係のきっかけを作る ②親しくなる ③いい人間関係を保つ ④日常生活の情報を得る
6 困ったときに対処するための行動
 いろいろな場面で、困ったときに対処するための行動
①生活の中で予期しない出来事が生じた場合 ②困ったときの便利な表現 ③「トラブル参照」一覧

Ⅳ 行動目標を達成するのに必要な3要素
 以下の3要素が素材に入っています。
1 日本語の構造(文法、語彙)
2 技能 (聞く、話す、読む、書く)
3 伝達機能 (挨拶する、お礼を言う、お詫びを言う、呼びかける、情報を求める、希望・願望を述べる、依頼・指示・命令する、申し出をする、誘う・勧める、許可を求める、謝りを正す、クレームを表す、相談する、確認する、ほめる・感心る) 15種類

Ⅴ 登場人物
 登場する人々は、さまざまな外国人の生活を想定し、その代表例として以下のように設定しました。
家族1 フィリピンから嫁いできたマイさんとその家族(東北地方在住)
家族2 日系ブラジル人ホセさんとその家族(北関東在住)
単身者 東京在住のベトナム人タンさん

Ⅵ 『リソース型生活日本語』の利用方法
 以下の手順でご利用下さい。
1 ホームページに入る。
2 『リソース型生活日本語』利用会員IDを入力する。
 「会員登録」画面で必要事項を入力、下の「送信」ボタンを押すと、即Eメールで会員IDが送付される。(赤い*印は必ず入力する。該当しない場合は「なし」と入れる。)
3 目次から必要なところを選ぶ。または、キーワード、文型、伝達機能および技能から検索する。
4 「教材素材」ページの印刷は下の「印刷ページへ」から印刷画面へ行って印刷する。
 このページはパソコン上に保存、ワード等で編集も可能。また使われている画像は全て使用許可を得ているので、自由に印刷していただいて構わない。
5 情報・意見交換の場として掲示板がある。誰でも投稿および返信が可能。また「お問い合せメール」からAJALTへメールを送ることもできる。
 『リソース型生活日本語』の利用は無料ですし、印刷等も自由です。
 感想、質問、ご意見、そしてどのように活用なさったか等をお知らせいただけたら他の支援者の方々にもご紹介できるかと思います。皆様からのお声をお待ちしています。

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