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日本語教師体験記

湖南省の古い小さな町にて(2013/7/16)

2012年度派遣 湖南科技学院 松下明美

 湖南科技学院のある湖南省永州市零陵を一言で表すならば、気の遠くなるほど古い歴史を持つ田舎町だということだ。秦の始皇帝が初めて中国を統一した頃(前221)を遡ること遥か昔、古代の舜帝(前2277~前2178)がこの地に埋葬されたという故事にちなんで、「零陵」と命名されたのだから。舜帝由来の山や廟は、今もここの人々に親しまれている。
渡し船
川で洗濯
 学院の近くには、きれいな川が流れる。洞庭湖に注ぎ込む2つの川、潇江(しょうこう)と湘水(しょうすい)の合流地点だ。ゴミが浮き、黄色く汚濁した都市部の川と比べてなんときれいな川か。水がきれいなせいか、ここの豆腐は大変おいしい。油揚げもおいしい。豆乳もおいしい。この地の名産は「蛇」で、「蛇酒」が唯一の土産物であると言えるかもしれない。要するに土産物になるようなものはあまりない。川には渡し船がある。1元(13円)払って、3分間で、対岸に着く。「矢切りの渡し船」みたいと思いながら、乗る。対岸には、古くて決して豊かとはいえない街並みが続く。50年前か、60年前か、もっと古いのか・・・、「毛沢東・・・・・」と消えかけたスローガンらしき文字が壁に残る。崩れかけそうでも洗濯物が見える木造の2階屋、蒲団屋さんがあり、牙科(歯医者さん)があり、町の小さな診療所がある。点滴中の患者は結構沢山で、外まで溢れていることもある。少々くたびれた白衣の医者が立ち回っている。往来でチョキチョキとやっている青空床屋もある。市場で買ってきた生きた鶏をぶらさげて、立ち話のおばさんもいれば、それを料理しているおばさんもいる。この町の探索は結構面白い。日本では失われたものに対する郷愁をかきたててくれる。マクドもKFCもスターバックスもカルフールもない。日本料理店も勿論ない。高層ビルもない。走っているバスはおんぼろだ。こんなに汚れて、老体で大丈夫ですかとバスに言いたくなる代物だ。でも、とても愛すべき町だ。「なぜかなー」と自問する。
オート三輪
古い町
メインストリート
散髪屋さん
 学院は、永州市で唯一の国立大学である。学生数13000人、日本語学科の学生は約300人である。学生は湖南省出身が殆んどで、農家出身の学生が多い。学生は、いわゆる『90后』という世代である。「『90后』と『80后』の考え方は、大いに違う。」と、中国人教師は少し嘆く。「90后」は、日本人の若者気質に似ている部分があるのかもしれない。
 最後に学生(3年生)の作文を紹介したい。この作文をもとに、スピーチをさせた。学生は思い出して涙ぐんでしまう場面があった。学生たちの子ども時代は、そんなに豊かではなかった。両親ともが都会に出稼ぎに行って、祖父や祖母、あるいは子供たちだけで生活していたというのは、よくある事例であった。私が色々述べるより、中国や学生たちの真実がよくわかると思う。

作文

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