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日本語教師体験記

日本では得難い生きるエネルギーをもらった(2013/8/7)

2012年度派遣 延辺大学外国語学院 小林恒夫

延辺大学について、起業家を目指す学生たちと教学状況
 延辺大学は中国の東北部の吉林省延吉市にあり、革命直後、1949年に創立された。延辺州は朝鮮族自治州である。現在、唯一朝鮮族の伝統を守る全国重点大学の一つで、学生数2万人の総合大学である。日本語学部は2009年に30周年を迎えた。教養学部の日本語の教師を含めると日本語教師は約40人もいて学部の先生の話によると中国の大学の中でも日本語教育レベルは高いそうである。
 大学にはアフリカ大陸のケニヤ、ナイロビアから英国、オランダ、ロシア、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、紛争中のアフガニスタン、インド、ニュージーランド、北朝鮮、韓国、カナダ、アメリカなどの国々からの留学生や外教の先生方がいる。北朝鮮からの研修生(北朝鮮の大学の教師達)とも卓球をしたり、片言で話したりチョッとした交歓ができ、この面でも異文化を肌で感じて新鮮だ。
 学生は全体としては真面目である。日本の学生と比べて起業家になりたいという学生も多いので最初は驚いた。そのほか留学、教師になりたいなど将来の目標が鮮明な学生も多い。
 しかし日本でもそう感じるが最近は社会の世相にはインスタント化、マニュアル化、即物、実利主義や競争主義の流れが目立ち、多くの学生がこれに染まっているように見える。また一方で近年、進学率の増加につれて当たり前の流れとして大学進学を選び、結果として学ぶことの意義が不鮮明だったり、何かに「熱中する」「集中して打ち込む」ことに迷いが見える学生も増えている。
延辺大学外国語学院
 そこで教育活動も学生のモチベーションをどのように上げ、維持させるのかや何故学問を学び、インスタントでない教養や、創造力、応用力を身につけさせるのか大きい課題である。クラスの学生を小グループに組み分けして共同準備、共同発表させたり、グループごとの競争をさせたり、日本のニュースをパワーポイントで発表させたりして授業中に学生たちが受け身にならないようにしている。
 また給料が高い日系企業で働きたいという希望も多い。しかし日本語学部の先生方も教育畑出身者がほとんどでこれに対する対応も不足していると感じる。地域の事情からアルバイをする学生も少なく、社会経験や実践的なビジネス関係の知識が薄いと感じている。
 幸い私は民間企業出進者で異業種から日本語教育にかかわっているので「視听」や「听説」授業とともに「実践ビジネス会話」を担当したりしているので、ビジネス用語と共に就職面接練習や学生を連れて日系企業見学をしたり、場面が日本の企業のドラマ、映画DVDを見せて感想文を書いたり、討論させたりして日本の企業文化の良い面、悪い面も実感させることにも努めている。
延辺大学外国語学院
 その他、学習の問題点では多くの学生がヒアリングを苦手としている。聴解部分では平均点が全体に低いことに加え生徒間のばらつきが大きい。しかし学生達はヒアリングや音読の学習は文法、文字語彙などと違って時間もかかり、成果がすぐに見えてこないことに加えて当大学の教育方法が目で字を追う学習や文法中心の暗記学習を優先し、その上、宿題もとても多い。学生たちはこれらに追われ、そして、試験と成績結果に縛り付けられているように見える。大学時代に自覚的に学習し、多方面から幅広い教養や創造力、応用力も養う点で弱点を感じる。気の毒な気もする。この点では当大学の教育方針の改善が必要ではないかと考える。個人的には同調する中国人教師もいるが残念ながら外人教師が口出しすると内政干渉につながり権限外の問題である。

「延辺ふれあいの場」と教室外の実践教育、日中交流・異文化交流経験
 「延辺ふれあいの場」というのは在瀋陽日本領事館、日本国際交流基金、延辺州政府、延辺大学がかかわって2008年6月に中国国内で4番目に誕生し、大学構内に事務所を設置している日中の民間交流のための組織である。日本から毎月、最新のポップカルチャー、青少年向けファッション雑誌やJ-POP、CD、DVD、漫画、日本語教材が送付されてくる。平常はミニ図書館の役割を果たしている。私は運営委員として発足前より活動に関わっている。
延辺大学外国語学院
 「延辺ふれあいの場」は今年で5年目を迎える。参加者が楽しみながら中国、韓国文化など自国文化と日本の文化の違いを肌で感じ交流する場を追求して来た。昨年5月にはサマーキャンプを取り組んだ。日本からは東北学院大学、筑波大学、早稲田大学、大阪大学、琉球大学など7大学から21人、中国からは西は雲南省から東は黒竜江省まで中国に所在する10ヶ所の「ふれあいの場」から20人の中国人学生が参加、合計41人の学生を吉林省延吉市の「延辺ふれあいの場」に迎え、延辺大学や当地域の若者、100人余と交流会を行い一週間に渡る日中の若者の交流活動を成功裏に終えた。こうした実績を受けて延辺大学外語学院も財政的な補助をするようになっている。
延辺大学外国語学院
 人というものは往々にして自分が目にしたことだけから判断し“井の中の蛙”になりがちだ。「延辺ふれあいの場」というのは広い広い世界、さまざまな異文化があってその中に自国文化も共存していることを実感できる場でもある。今年も活動をさらに前進させたいと思っている。参加者がいい日本映画を見たり、日本人企業家の講演を聞いたり諸活動に参加しながら日中の民間交流に自らも加わって異文化交流を学ぶ。そしてこうした刺激も受けて勉強する意欲を高めてくれるのはうれしいことである。

生活面 人情が濃く、食生活が豊かで健康促進、 暮らしはとても快適
○地域、気候~中国の東北地方にあり国境ではロシア、北朝鮮と接している。朝鮮半島植民地時代に半島から移住してきた朝鮮族が多い。現在も延辺地域の朝鮮族は北朝鮮には親せきの訪問や仕事で相互に頻繁に行き来している。 緯度は北海道と同じで冬が長い。気温は夏場で最高気温32度くらいだが空気が乾燥しているのでさっぱりしている。冬は-10~-28度で戸外はとても寒い、冷たいというより痛さを感じる寒さである。鼻毛やまつ毛に霜がつく。しかし地域暖房があり、10月から4月までの間、屋内は全室が一日中25度位あるので真冬でも過ごしやすい。私の故郷の大阪にいるより快適です。しかし冬場は地域暖暖のために石炭をたくので外気が汚れている。
延辺大学外国語学院
○人間関係~日本人教師と学校や教師間の関係は日本への留学経験がある教師が多くてコミニュケーションもスムーズで不便を感じたことはない。又朝鮮族の多い当地は日本への出稼ぎ者も多く反日感情も少ない。人情が濃く友好的である。
○食生活~「生きる」と言うことは何よりも先ず「食べること」である。
市場も近い。お米もコシヒカリ系でおいしい。食材が野菜も果物も肉類も豊富で日本にいる時より食生活のバランスが取れて健康が促進される。
漢方で「衣食同根」という言葉があるが例えば「トラジ(桔梗の根)」<咳、痰によく鎮痛、解熱作用があり生薬として利用>や「泥鰌(ドジョウ)」<解毒滋養が多く薬膳にも使われる。>、犬肉<日本でも明治以前は食していた。牛肉より脂分が少なくビタミンが豊富で、体が温まり滋養、強壮>などなど。キノコ類、山菜も豊富である。日本では滅多に口に入らない健康食が日常的に食べることが出来る。
学校の食堂の中華料理は脂っこく、塩分も多いので2004年に延吉市に来た時から三食自炊している。私が元気でいられるのはこうした多種、豊富、健康的な食材を毎日食べているからだと思う。お酒(白酒)も安くておいしい。
延辺大学外国語学院
○私は日ごろより日本の生き様と比較して世界の人々はどのように暮らしているのだろうか?現代の文明の源である世界の四大文明発祥の地や今からおよそ約3万年前にホモサピエンスが最初に生まれた土地といわれるアフリカ中央東部の人々は今どのように生きているのだろうかと言うことなどに関心が強くあった。その生き様を見、さらに現地の人と交流したいとの思いがあった。自分のやりたいことをやってみようと定年前に中国で日本語教育に携わった。当地では教えるだけでなく学ぶことが多く、日本では得難い生きるエネルギーをもらっている。暮らしは快適である。

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