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日本語教師体験記

中国の高校生に日本語を教えて

貴州省六盤水市第三中学校  川 貞夫

 2017年9月から1年間、貴州省六盤水市第三中学校の高級中学(高校)で日本語を教えました。生徒数は約5,000人。全寮制ですが、3割程度は家から通学していました。三中は市の中心から離れた丘陵にあり、敷地が広く、孔子像をしつらえた中国式庭園があり、授業の行き帰りにそこを歩くのが楽しみでした。制服は学年ごとに統一された質素なジャージの上下で、その姿で授業も寮での生活も過ごします。
 生徒の日課は、2時間半の外出自由な昼休みがありますが、7時40分開始の「早読」から午後6時終了の8時限まで授業です。夕食後、さらに7時から教室での夜自習があり、生徒たちが寮に引き上げるのは11時です。土曜は午前授業、日曜は夜自習があります。日本に比べたら、自由のない生活です。しかし、生徒たちは、純朴で人懐こく、自分が日本で英語を教えていた高校の生徒たちと良く似ています。
 英語以外の外国語(小語種)の選択は、高校入試の英語の成績によるため、小語種を取ることが不本意の生徒もいます。小語種は、三中では、日本語のほか、仏語・独語・西語・露語が選択できますが、日本語選択者が圧倒的に多く、日本語の人気を感じました。小語種を選択した生徒は、高考(大学入試のための統一試験)も、その外国語で受験します。
 中国人の日本語教師が4名、日本語学習者は3学年合計で260人ほどです。教科書を覚えることが中心で、生徒は会話に苦手意識を持っていました。学校からは聞き話すことの指導を要望されました。授業は、1人で行い、教材も自作です。
 1年生は、発音、挨拶、教科書の文型の口頭練習などが中心でしたが、2年生は理解力がかなり付いているので、私の話す日本語を聞き取り、質問に答え、元になった文を音読する活動をしました。日中の文化の違いから、高校生活の違い、六盤水の将来のために何ができるかということまで教材にしました。
 生徒たちは、大きな声で音読し、質問には良く手を挙げ、板書を求めると争うように前に出て答を書きます。定期試験が目前の時は、別の教材を開きながらも、私の方にも目を向けていてくれました。
 最初に公園や街に連れて行ってくれたのも生徒たちです。また、帰国前には送別会を開いて、歌や芸を披露し、日本蕎麦まで作ってふるまってくれました。
 3年生は直接には教えませんでしたが、「高考」に作文があるので、毎月2回、ほぼ全員の日本語作文を添削しました。
 国が違い言葉が思うように通じなくても、日本語を教えることで、心を通わすことができることを知った1年でした。


校内:孔子像のある庭園で(背景は寮)
校内:孔子像のある庭園で (背景は寮)


校内:学習棟
校内:学習棟


パワーポイントを使った授業の様子
パワーポイントを使った授業の様子




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